3年目のホットライン・大阪の取り組み

「市教委に不起立教員の名前を報告しろ」(富田林市教委)と指示!?
「立たない教員には、処分がある」(松原市教委)!?
「『良心の自由』について事前説明をやめろ」と羽曳野市教育長が学校に行き圧力!?

     各市教委と交渉し成果を上げる!!

 電話相談の日程は、2月12〜15日(高校の卒業式準備の時期)、3月4〜7日(小・中学校卒業式準備の時期)、4月1〜4日(入学式準備の時期)の12日間でした。その上で、2月16日と3月9日に2回、大阪労働者弁護団・大阪社会文化法律センターの協力を得まして、弁護士を交えての相談会を開きました。また、FAXを別に設置して、相談日以外の日にも対応できるようにしました。(相談一覧は別項)
 この12日間で、電話相談は5件、FAXでの相談が2件あり、このほかに報告や激励の電話が6件ありました。件数としては、昨年よりも少なかったのですが、電話やFAXでの相談はいずれも深刻かつ重要な内容のものばかりでした。まず初日に、遠く北海道の小学校教員から「HPで見た」と、卒業式を控えてどのように闘っていくのか、という具体的な相談の電話が入ったのをはじめ、教員や保護者から具体的な相談が寄せられました。「市教委が不起立教員の氏名を報告するように校長に指示をして、学校によっては校長が処分をちらつかせながら起立を促している」(小学校教員)「自分が新入生なので校長と話をしていたら、立たない教員については処分もあると言ったが」(保護者)という相談に対しては、弁護士との相談だけでなく、それぞれの市教委に公開質問を出し、保護者も交えて交渉を行いました。
 この中で、どちらの市教委からも「名前を報告せよという指示はしていない。処分は考えていない」との回答を引きだすことができました。そして、交渉の後では校長の態度が軟化したとの報告があり、一定の成果を上げることができました。
 また、別の市の教員からは、「教育長が全中学校と一部の小学校を直接訪れて、『良心の自由』について事前説明するのはやめるように、と校長に圧力をかけている」として、相談がありました。この事例も、ホットラインからの申入れと交渉をこない「そういう趣旨ではない」「二度としない」と市教委に回答させ、今年も昨年通りの対応をさせることができました。
  一方、保護者からの相談は少なかったのですが、電話相談してきた養護学校の保護者からは、電話相談で教えてもらったことを踏まえて、他の保護者と話し合いなどをした結果、卒業式において感動的な場面を創りだすことができたとの報告が寄せられ、ホットライン参加者をおおいに勇気づけました。

注)高槻市では、昨年、次のような人権侵害事例が起こった。(1)「君が代」の事前指導で、在日韓国人児童への差別事件。音楽の授業で「君が代」の練習があり、4年生の在日韓国人の子どもが耳をふさぎ、歌わなかった。その後、教室に帰ってクラスメイトから「なぜ歌わないのか」とせめられ、言い合いになり、その時「韓国人」という差別発言を受けた。(2)6年生の在日韓国人の子どもと日本人の子ども5名が、卒業式に「日の丸と君が代はやらないでほしい」と校長に申し入れた。卒業式前に担任が子どもたちを個別に呼び出し、圧力をかけた。担任は、一人一人に対して「式の時はどうするの?」「親には相談したの?」「退場以外にも、友だちとして協力できることはほかにいっぱいあるでしょう?」と恫喝を加えた。(3)修了式当日、卒業式に起立しなかった5年生の子ども全員を残して、校長が「この本(学習指導要領)には、『国旗・国歌は尊重するように』と書いてある。」「国旗・国歌が必要ないと思う人、必要だと思う人、わからない人」のいずれかに手を挙げさせた。